ものづくり白書第2章第1節3では、
製品のデジタル化とモジュール化の現状を分析しています。
図213-1はLSI1個に集積されたトランジスターの数を示します。
●図213-1 集積回路のトランジスター数
横軸は実時間、縦軸は素子数の対数目盛ですから
40年にわたり、指数関数的に集積度が上がっていることが分かります。
これによってLSIの性能は年々急速に向上し、
多くの機能がLSIだけで実現するようになりました。
一般的に単一民族である日本は、
国民性からいっても意見や技術をすり合わせて
製品を作るところで長所が発揮でき、
モジュールの組み合わせだけで完成する製品では
競争優位性を打ち出しにくいといわれます。
さらに上図の集積度がCPU性能にも適用され、
多くの機能がCPU能力とソフトウェアで実現されるようになってきました。
ソフトウェアもそれ自体をコピーするだけで
ばらつきなく完全に再生産が可能ですから
モジュラー技術的性格があります。
●図213-2 各種製品・システムにおけるソフトウェア規模の拡大
図213-2は、製品種ごとのソフトウェア規模の推移を示し、
ここ10年の間に3倍から10倍に大きくなっていることがわかります。
これとは別に3D-CADなどのデジタルプロセス設計ツールも
図213-4のように、中韓に大きく差をつけていた90年代に比べると
普及率がかなり追いついてきており、
NC加工機などの製造機械普及とともに
ものづくりの差別化が難しい環境になっています。