先週技術教育に関心のある方々向けに「技術者を育てる現代版教育体系の作り方」というWebセミナーを企画したところ、40名もの応募があり終了後のアンケートでも予想を超える好評で恐縮しました。セミナーの中でも「技術者教育は他の企業内教育と比較して難しい」というお話をしましたが、それを実感している人が非常に多いことが改めて分かります。
さらに30分の教育相談を提示したところ、数社の方にご希望いただきました。
共通する課題がありそうでしたので、(当然ですが)実名は避けてポイントを紹介します。

小企業なので技術教育の仕組みが全くない

40名ほどの規模でしたので、当然しっかりした教育の仕組みが整っている企業はほとんどないと思われます。しかしそれで良いわけではなく、とにかく一歩目を踏み出すことが大事です。特に一人では心理的にもキツいので、初めに社長に声をかけて、最低二人の「技術教育委員会」を作ります。
次に第一回技術教育委員会では、社長にも入ってもらって「全社教育方針」を作ります。そんなに独自性がなくても良いでしょう。「当社は人材教育をもって競争力ある製品の設計および生産を実現する」とか、「当社の成長に人材の育成は必要不可欠であり、これに注力する」とか、ある意味当たり前の内容でも良いと思います。間違っても「すべてに優先して人材を教育する」など、実行できない方針を掲げると、かえってまずいことになります。
ついでに現実的な教育予算枠を設定しましょう。教育費は多いほど効果も上がるでしょうが、教育に時間をかけるほど通常業務時間が減るというジレンマがありますし、予算を掛けるにしても限度があります。上場企業+アルファの経理勘定科目で人的費用に占める教育費の比率は平均0.3%程度というデータがあります。人的費用に2億円払っている企業なら、60万円ということになります。中小企業でも何とか捻出できる金額ではないでしょうか?とにかく60万円を枠として社長から約束してもらい、これをいかに効果的に使うかを委員会で考えます。
委員会も隔月1時間で良いので、1年分の日程を決めてしまいましょう。年間6時間くらいなら何とかなります。何とかしましょう。そこでも無理な計画は立てずに、現状の整理から初めて、弱点を補強するか、強みを伸ばすか、PDCAを回しながら少しずつ進化させていきましょう。
とはいえ40名で60万円は、一流の講師を呼んだりするとあっというまに使い切ってしまいます。そこは通信教育、映像教材、Web講座などを組み込むことで大幅に費用を節減することが可能になります。まだまだ開発途上ですが、注目したいですね。

個人単位の設計業務で一体感がない

機械設計の受託会社ですが、個人単位の業務のため、発注元との関係が強くなって退社することも多いところが課題でした。退職を防ぐには、個人事業では実現できない何らかのメリットを提示する必要があります。例えば、前項の技術教育委員を募って、複数人で計画を立ててもらう、設計生産性向上プロジェクトを立ち上げてメンバー会議を定期的に実施するなどが考え付きます。
そして基礎的な設計法の教育しか実施していなかったようなので、最先端設計ツールや、設計している製造設備や最終製品など応用技術の先端講座教育も提案しました。こちらも有名講師を呼んだのでは費用がかさみますから、Webの活用は非常に効果的だと思います。

皆さんのお話を聞いて、技術者教育の必要性をひしひしと感じ、ここは私も頑張らねばと思いを新たにしました。