ものづくり白書(正式には「ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告」)の2019年度版に関する、個人的な感想、意見を書きます。あくまで個人的な意見ですが、それに対するご意見などあれば、是非聞かせてください。

まずは第1章ですが、何しろ令和元年ですので、特別企画として平成を振り返る意味も込めて「平成の製造業とものづくり白書の変遷」と名付けられています。
ここで言う「日本ものづくり産業の平成」を2行でまとめるなら、「バブル

崩壊、リーマンショック、自然災害など多くの困難に直面しつつも、品質力・技術力を活かせる部素材を強みとして、我が国経済を支えてきた」となります。

一つの根拠となるのが図112-4で、半導体関連で最終製品であるDRAMはこの10年でシェアが20%から0になってしまったものの、その基幹部材であるSiウェハ、フォトレジストなどの高いシェアはほとんど下がっていません。

図112-4 半導体メモリ(DRAM)と関連部材における日系企業シェア

また平成初期には、円高を背景とした製造現場の海外移転、いわゆる産業空洞化現象が問題となっていましたが、近年はあまり話題になっていません。その状態が定常化してきたという側面もありますが、中国を始めとした新興国の賃金上昇によって、その労働コスト差が縮まっていることと、同じ海外生産にしてもその位置づけが低コスト生産から消費地生産に変化した結果、社会の認知も進んだ結果のように思われます。

この間図111-4で示すように、製造事業所の数は40万件強から20万件へと半減しましたが、算出する付加価値はほぼ横ばいである結果、事業所当たりの付加価値は2倍に増えています。事業所を統合すれば労働生産性が向上するのは当然のことで、図111-5では製造業の生産性の上昇が非製造業に比べて顕著です。

 

図111-4平成以降の製造事業所数と1事業所当たり付加価値額の推移
図111-5 製造業、非製造業における労働生産性の推移

日本の労働生産性の低さが問題となっていますが、これは主に非製造業であり、製造業は当てはまりません。製造業は常にグローバルな競争環境に対面していることが、この違いの原因と私は考えています。

今後も厳しい国際競争にもまれて、製造業は進化を続けるだろうと期待します。