戦略的な特許取得の重要性(2013年度版 第1章2節2(2))

2013年7月9日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章2節2(2)では、
戦略的な特許取得の重要性が説明されています。

図122-10を見ると、特許件数を重視している企業よりも
厳選して取得している企業の方が営業利益が増加傾向です。

●図122-10 特許取得戦略と営業利益
特許取得戦略と営業利益【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

サンプル数がさほど多くないし、分散も不明なので
有意差の判断がつきかねますが、
多くの企業で特許取得に慎重になっているという話は耳にします。

●図122-11 技術伝播の影響が強い経路
技術伝播の影響が強い経路【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

図122-11のように、
特許を通じて自社技術が外部に流出するため、
必要な特許のみ注意して出願することが
一般的になってきています。

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企業競争力の源泉である「技術・設備の維持・強化」(2013年度版 第1章2節2)

2013年7月7日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章2節2では、
企業競争力の源泉である「技術・設備の維持・強化」について解説しています。

前段のアンケート、で技術力に相当の自信を持っており、
事業競争力でも欧米韓国には互角以上の意識を持ちながらも
中国企業に対しては劣位と感じています。

その一つの要因と分析しているのが研究開発費です。
日本企業のGDP比研究開発費は
2001年のから1.4%から、2008年には2.8%まで増加しましたが、
2009年に下がり韓国に抜かれています。

また図122-4で分かるように、絶対額の指数では
日本の伸びに比較して中韓が飛躍的に増額していることが分かります。

●図122-4 企業部門の研究開発費の推移
企業部門の研究開発費の推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

研究開発費が伸び悩んでいるだけでなく、
図122-7で分かるように
研究開発の期間も短期的なテーマが増えてきており、
長期的な競争優位性に不安があります。

●図122-7 研究開発期間の変化
研究開発期間の変化【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

ひとつには人口減少局面に入り、
以前出てきた設備投資と同様に
市場収縮方向の国内よりも海外向けの研究開発が増えるのは、
理解せざるを得ないでしょう。

しかし、付加価値の源泉である開発が国内で減少し
短期的になっている電気機器業界は
これからかなり厳しい戦いになっていく危険性があります。

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米国の「製造業ルネサンス」の実態(2013年度版 第1章第2節コラム)

2013年6月29日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節のコラムは、
米国の「製造業ルネサンス」の実態を解説しています。

下の図で分かるように、
中国の労働者賃金の上昇によって
米中の人件費格差は縮小し、
輸送費や管理のしやすさを考慮すれば
今や米国内の製造に競争力がありそうに思えます。

●アメリカ製造業回帰に注目が集まる背景
アメリカ製造業回帰に注目が集まる背景【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

しかし白書では、海外拠点を米国に戻す動きが
キャタピラーやGEなど限定的であり、
もっと大規模な新規雇用が必要だと分析しています。

その原因として考えられるのは、
まず第一に、もはや中国生産はコストダウンが目的ではなく
中国そのものの巨大市場が目的であること。
第二に、近年の中国内生産量同大による習熟曲線により
中国の現場力が米国を上回っている事です。

これは他人ごとではなく、
日本も製造の現場を失って長い時間が経つと
復帰できなくなる危険性があります。

タイ洪水の際に、
タイ工場から作業者を連れてきて生産せざるを得なかった
ホンダの例が思い起こされます。

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TPPなどの経済連携を活用した立地環境の改善(2013年度版 第1章第2節コラム)

2013年6月27日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節のコラムでは、
TPP周辺の環境と重要性が書かれています。

ご存知のように、本件では賛否両論が行き交っていますが、
この白書は経産省なので、完全に賛成の論調です。

一般的に新しいことを始める時は、
賛成が多くとも、既得権者が死に物狂いで反対するため
そちらがメディアに取り上げられ、
あたかも賛否相半ばのように見えたりします。
賛成者は死に物狂いになりにくいため、
ニュースの「絵」にならないのです。

しかも反対している人は、農業従事者よりも
その利権の恩恵を受けている人だったりします。

いずれ中国の食文化が豊かになり、農作物が不足し
日本などからの輸入に頼らざるを得なくなるという話も聞きます。

保護に頼るのではなく、自らの知恵を使って
農業の付加価値生産性向上を今から進め、
来たるべき農業輸出時代に備えるべきでしょう。

製造業で培った生産性向上の手法も
間違いなく利用できるはずです。
いや、利用しなければなりません。
ものづくり革新ナビを農業関係者も見て欲しいな。

TPPをそのための契機として利用してほしいものです。
もちろんソフトランディングのための施策は必須です。

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主要国・地域における製造業の競争力比較(2013年度版 第1章第2節1 その2)

2013年6月26日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節1(2) では、
主要国・地域における製造業の競争力を比較しています。

競争力の構成要素を6つに分類し、
先進国と比較したチャートが図121-4であり、
アジア諸国と比較したものが図121-5です。

●図121-4 主要国の製造業競争力チャート(欧米)
主要国の製造業競争力チャート【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

●図121-5 主要国の製造業競争力チャート(アジア)
主要国・地域の製造業競争力チャート【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

これを見ると日本の特徴が非常に際立っています。

①産業基盤は、欧米だけでなく
アジアのシンガポール、台湾に比べても大きく劣っています。
これは電力料金の高さと
イノベ^ーションを促進する法制の不十分が原因のようです。

②産業集積は、全体のトップであり、
よく言われる質量ともに優れた中小企業の存在が原因です。

③技術力は色々言われる中、ダントツの高水準です。
環境も法制も経営も劣る条件で、よくできたものです。

④経営力の低さは情けないものです。
白書では、市場への対応力(つまりマーケティング)と
MBAスクールの質の低さ、産学連携の評価が原因とあります。
いずれも思い当るところ大ですね。
文科省の管轄でしょうか。

⑤労働力も決して高くありません。
労使関係は良いものの、
生産性に対する賃金の高さ、
生産年齢比率の低さなどが劣っています。

⑥グローバル化指標は、これら10か国中最下位です!
半端に大きい国内市場、海に囲まれた地形
心地よい環境に甘んじて
対外的な消極感が数値に現れています。

日本の競争力を上げるには、高い技術力を維持しつつ、
グローバルな考えを持った経営者がいれば良いようです。
そう考えると、日産やユニクロ、日本電産など
海外進出に積極的な経営者の率いる企業は元気があります。

大きな企業であれば、
必ずそのような素養を持った人材がいるように思いますが、
なかなか抜擢が難しいのか。
海外から連れてくる方が抵抗感がないかもしれません。

ちなみにこれらのデータは、
良く見かけるIMDだけでなく
色々なソースから引用されています。
手間がかかってますね。

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「立地環境の整備」が必要(2013年度版 第1章第2節1その1)

2013年6月22日ものづくり白書を読み解く

ようやく第2節ですが、今DLしてみたら
6月10日更新と書いてありました。
どこが修正されたんでしょう。
読んだ人から指摘されたのでしょうか?
気になります。

2013年度版ものづくり白書第1章第2節は
「転換点に直面する我が国ものづくり産業の課題」です。
第1節の分析を元に課題を明らかにしていきます。

その1では立地環境の整備を考えます。

白書は、立地環境の悪化が
海外シフトを加速していると分析します。

その環境を国内要因と海外要因に分けて
アンケートした結果が図121-1です。

●図121-1 国内生産の縮小と海外生産シフト要因
国内生産の縮小と海外生産シフト要因【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

国内要因は所謂6重苦に上がる内容です。
人口減少のトレンドは一朝一夕に変わりませんが、
為替問題は今後変化する可能性があり、
現にここ2か月ほど急激な上下動がありました。

一方の海外要因は、ポジティブな方向と見えます。
取引先の海外展開に合わせる形で進出し、
安い労働力を活用しながら
成長する市場に合わせて、
日系以外の現地需要を取り込めれば、
日本の高度成長期以上の拡大を達成することも可能です。

図121-2で見るように、
海外生産があってもなくても
今後の従業員数、設備投資額は減少していきます。

●図121-2 今後3年間の国内外での従業員数・設備投資見通し
今後3年間の国内外での従業員数・設備投資見通し【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

海外に進出して旺盛な需要をとるか、
縮小していく国内市場で激烈な競争に勝ち抜くか、
二者択一のように見えて、、
実際には国内で勝つ実力のある企業だけが
海外でも成長できるようにも思います。

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国際貿易の方向感(2013年度版 第1章第1節4コラムその3)

2013年6月21日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第1節4コラムその3では、
国際貿易の今後の方向性について分析しています。

オランダの経済学者ヤン・ティンバーゲンによれば、
二国間の貿易額は、次の法則に従うとか。

(1)距離が近い国ほど貿易額が多い
(2)その二つの国の経済規模が大きいほど貿易額が多い

これは、物理学の「引力の法則」に似ています。

1990年と2012年の日本貿易額は図1、図2のようになり、

●図1 1990年の主要国・地域の名目GDPと日本の輸出入先
1990年_主要国・地域の名目GDPと日本の輸出入先【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

●図2 2012年の主要国・地域の名目GDPと日本の輸出入先
2012年_主要国・地域の名目GDPと日本の輸出入先【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

この間に日本に近いアジア諸国との貿易額は、着実に増えています。

今後日米欧のGDPが伸びない中で、
アジア諸国のそれはさらに増大するのが確実で、
距離の近さから
貿易額も欧米以上になると予想されます。

これまで日本国内だけの販路で間に合っていた企業も
アジア進出を真剣に考えた方が良さそうです。

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海外利益の使途の変化(2013年度版 第1章第1節4コラムその2)

2013年6月19日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第1節4の2番目のコラムでは、
海外利益の使途の変化を分析しています。

海外生産が拡大するにつれて
貿易収支はマイナスになるものの
現地法人からの仕送りによって所得収支の黒字が拡大すれば
経常収支としては相殺されるはずです。

図1は、海外で上げた収益の使途を示しています。

●図1 海外収益の使徒の推移
海外収益の使徒推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

02年08年で若干逆転するものの、
全般的には海外での再投資を国内への還流が上回っています。

しかしながら、図5を見ると
最大貿易国である中国において、
日本への収益還流が難しいというアンケート結果があります。

●図5 国内への収益還流が難しい国
国内への収益還流が難しい国【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

13億人市場という他に替えがたい大市場のアドバンテージを盾に
政治力で自国に有利な状況を作り出そうとするこの国は
どこかで破綻しそうな危うさを感じさせます。

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コア技術の海外移管方針(2013年度版 第1章第1節4コラム)

2013年6月18日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第1節4のコラムでは、
コア技術の海外移管方針を分析しています。

海外生産においては
自社の技術ノウハウが他社に流出しないように注意が必要ですが、
自社の海外工場にそれを伝えないと、
競合との製品競争に勝てないというジレンマがあります。

海外工場は従業員の退社率が高いため、
どうしても技術も流出しやすいと言えます。

図1を見ると、3業界の中では電気機械が
コア技術の海外移管が最も進んでおり、
今後自動車の移管が進みそうです。

●図1 コア技術の海外移管方針
コア技術の海外移管方針【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

一方産業用機械でコア技術の移管が進んでいないのは、
まだ国内生産品の輸出でもコスト競争力を保てているため、
敢えて先端技術を海外に移管する危険を犯さなくても
良いポジションにいると想像します。

何も好き好んで技術を海外に出しているのではなく、
グローバル対応を進める中で
リスクを取って攻めていると見ましょう。

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海外拠点機能の多様化(2013年度版 第1章第1節4)

2013年6月17日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第1節4では、
海外拠点機能の多様化について分析しています。

当初の海外展開は
コストダウン目的の生産が主で、
続いて成長が続く現地での販売が目的となりました。

図114-1を見ても、黄緑の現在機能としては、
量産、販売とアフターサービスが3本柱ですが、
今後拡充を考えているのは、
製品企画、設計、試作分野です。

●図114-1 バリューチェーンの機能別・海外展開見通し
バリューチェーンの機能別・海外展開見通し【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

現地での販売に力を入れると
現地の要望を取り込んだり、
消費地に近い場所で、フィードバックをもらいながら設計、試作しようとするのは
当然の流れと思えます。

このような流れを受けて図114-2では、
海外製品の水準が国内と同レベルあるいは以上との回答が
6割を超えています。

●図114-2 海外生産の技術水準と今後3年間の海外生産見通し
海外生産の技術水準と今後3年間の海外生産見通し【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

日本の製品が優秀だったのは、
均質な教育を受けた国民性もあったでしょうが、
何と言ってもたくさん生産することによる
習熟効果が大きかったのは違いないでしょう。

企画、研究、設計が海外に移れば、
そのプロセスでの習熟が進み、
生産以上に付加価値のあるこれらの分野でも
海外の競争力が高まるでしょう。

さすれば、さらに付加価値の高い事業戦略分野の
能力を磨いておく必要がありそうです。

あ、あくまで平均データをもとにした一般論です。
あなたの企業、部門については
環境を良く分析して、個別に判断する必要があります。

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