書籍「10年後生き残る 理系の条件」竹内健著を読んで

2020年1月23日エンジニアのキャリアデザイン

「技術者」×「キャリア」でGoogle検索したところ、本書が検索順位第1位で表示されたため興味を持って購入してみました。

著者の竹内健氏は大学卒業後、フラッシュメモリーを発明した舛岡富士夫氏との仕事を志願して東芝に入社しましたが、実用化は苦難を極め20年の歳月を要しました。そしてようやく大規模な投資で東芝の稼ぎ頭になるという、まさにその絶頂期に東芝を退社し、大学教授に転身しました。

それまでの経緯から、大きな成果を上げても正当な評価が期待できずに、また狭い専門領域に留まることで事業が縮小した時のリスクを感じて、たまたま話があった大学研究職への転身を決意したのです。

本書はそんな著者が後進のエンジニアに送る、経験的な技術者キャリア論です。

全体を通じ、「近年の技術は変化が激しく、会社員キャリアを通じて一つの専門で通せることはない」という前提があります。私の企業時代30年を振り返っても、入社後20年は中身が変われど「光ディスク」という大きな括りで仕事していましたが、最後の5年はプラズマディスプレイを扱い、それも最後は消滅してしまいました。このような比較的製品ライフサイクルが長い時代にあってすら、成果を上げるには専門領域を極める必要があり、狭めるとその技術終焉と共に技術者キャリアが終わってしまうリスクが高まるという二律背反の状況に追い込まれます。

そこで筆者は第1章で、企業が要求する狭い専門性を深めると同時に、その応用や経営などを横方向に展開する、いわゆるT字型のスキル構築を勧めます。
ただし学生から入社初期にまずは専門領域を深め、その後で横方向に広げるという順番が大事とも説きます。歳を重ねてから専門を深めることが容易ではないからです。

専門分野で袋小路に追い詰められない方策として、筆者は第3章で技術者であっても「文系力」を身に付けようと語ります。ここでの文系力とは、経営力であったり、発信力、自己分析だったりします。技術力を磨くのは当たり前で、その上で前述のようにT字展開するわけです。筆者は実際に30代でスタンフォード大学に企業留学してMBAを取得し、企業研究の傍らで学会に論文を投稿して40前にして学位を取得しています。

これらの点では私も遅まきながら55歳でMOT、59歳にして学位を取りましたから、ちょっと似ているところがあります。いずれも良かったと思う反面、その効果を長く享受するためには、もう少し早く取っておけば良かったと思うものです。

後半の第5章で筆者は「エンジニア人生は逆張りでいこう」と提起します。これは会社の言いなりになっていることが、必ずしも良いキャリアを約束しないことを意味します。新しいことを始める時の次の三つのルールを紹介していて興味を引きます。

  1. 新たに挑戦したい分野の先駆者などに、広く聞いて回る
  2. やることを決めたら、周囲の人に宣言する
  3. チャンスが来たら、全力でやり遂げる

私もこれらをどこかで聞いたためか、起業志願者には近いことを次のように話しています。

  1. どうしたら良いか分からない時は、自分が尊敬している、あるいは理想に近い人と会って話してみる。
  2. あるものが欲しい、こうなりたいと思ったら、書いたり、人に話したりしていると、いつか実現する。
  3. チャンスは後で気づいても間に合わないので、早めに捕まえにいく。

企業内技術者は、考えなくても仕事が指示されるため、ある意味で楽です。そのため、自立して何をどうするか自由に決められる状況で、的確な判断をする訓練ができていません。いつ企業から離れても独力で判断できるように、30/40代から意識的に行動しておくことが、キャリアリスク防止に有効です。

本書には、他にも技術者が自らのキャリアを振り返り、将来を考えるためのヒントが満載です。企業内で専門技術習得に邁進し、ふと現状に疑問を感じた迷えるエンジニアさんに一読をおススメします。

日本の公的教育費支出が世界最低水準らしい

2020年1月13日エンジニアのキャリアデザイン

 OECDが発表した調査結果によれば、日本の教育への公的支出は35か国中最下位だったそうです。
https://resemom.jp/article/2019/09/11/52413.html?fbclid=IwAR061ubtSV6IRkAkEM07JPSaxDJo62MKzhxaTpl__py2O5DRnfbzm777Pi0

 確かフィンランドが思い切った予算を使っていると聞いたことがあり、日本はさほど高くないだろうという意識はありましたが、そこまでひどいとはちょっと驚きです。
会社を辞めてから自腹で大学院二つ(技術経営修士と、工学博士)修了した自分としては、最も高いリターンが期待できる投資は自分への教育と思っており、当然国家としても教育にもっと予算をつぎ込むべきと断言します。

景気回復の即効性はないかもしれませんが、子供が考える力をつけて次世代の革新的事業(できればグローバル)を育成すれば数倍、数十倍の税収になって返ってくるでしょう。そのためには現在のような知識の暗記中心の教育ではなく、フィンランドのような「考え方」の教育に変質させなければ意味がないでしょう。そうか、今の教育予算を増やしてもダメだから、政府はそれをしないんでしょうか?

同じことが企業内教育にも言えます。へたな設備投資より社員への教育に投資した方が、利益へのリターンが大きいと思われるのに、業績が悪くなると真っ先に減らされるのが教育費だったりします。営業利益率30%超で有名な中小製造業のエーワン精密は、好況の時はひたすら作る、不況の時は次の好況に向けて準備する、と言います。業績が悪くて生産時間に余裕がある時こそ、社員教育の好機なのです。

また企業の教育プログラムを待つだけでなく、社員個人としても積極的な自己教育投資を勧めます。自分の理想のキャリアを思い浮かべたときに、それに必要となるスキル、知識は何でしょうか? 従前と異なり、Webを通じた手ごろな学習プログラムが充実しています。もちろんしっかり体系的に学ぶなら学校に入るのも良いでしょう。少子高齢化に伴い、学生を集めにくくなり社会人教育に力を入れている大学も増えてきました。昔は一つのスキルを獲得したら、40年の会社員人生をそれで乗り切れましたが、現在の技術寿命は分野にもよるものの10年と言われます。一つのメーカーに留まるにしても10-年ごとに学び直しが必要となるわけです。

もう一つのおススメは書籍の大人買いです。自分が専門にしようと思う分野に関連する本をAmazonなどで検索して、「どれを買うか」ではなく、まとめて「全部買う」のです。全頁を読む必要はありません。とりあえず興味を引く部分だけ読んで、あとは本棚に並べて気が向いたときに読みます。同じ分野であれば、本が変わっても同じ内容が繰り返される部分が現れますから、2冊目、3冊目と読み進むにつれ読み切る時間は短くなり、全冊目を通すころには、その道の第一人者の知識が得られます。会社の図書費で買って会社で読んでいると、仕事してないじゃないかと顰蹙を買いますから、自宅で読みましょう。ベストは自腹で買うことです。自分のお金で買った本は吸収度が全く違います。Anazonマーケットプレイスやブックオフだと、素晴らしい本が定価の2,3割で手に入ることもあります。

ネット上の情報は無料で便利ですが、玉石混合です。石より困る誤った情報もあります。書籍の場合は、体系的にまとまっていますし、少なくとも出版社の編集者がチェックしますから、最低限の品質が担保されていて、時間の無駄を防止できます。

前述のように私は退職後二つの大学院就業のために学費だけで400万円ほど投資し、経営工学、技術経営を中心に1000冊の書籍を購入(1冊千円として100万円)しましたが、明らかに投資を上回るリターンを受けており、これからも死ぬまで受け続けるでしょう。

「自分自身への教育投資」是非実行してください。

エンジニアの資格1:技術士

2020年1月9日エンジニアのキャリアデザイン

技術士とは何か?

私は企業に30年間在籍していた当時、技術者としては比較的資格を多く持っていた方だと思います。といっても取り組み始めたのは45歳を過ぎるころからです。それまでは必要性も有効性も感じていませんでした。会社にもよるのでしょうが、私の前職で技術士、MBA/MOT、博士といった重めの(^^;)資格をひとつでも持っている人はほとんどいませんでした。技術者が2000人を超えるなかで、技術士は私一人だったのです。

有資格者しかできない業務がある弁理士や弁護士、会計士などを業務独占資格と呼ぶのに対応して、技術士や中小企業診断士は名称独占資格と呼ばれ、無資格者との差異は「相応の能力を持っている」と国家が認定していることだけです。

技術士がいることで公共事業の応札時に有利になるために、建設部門などでは業務独占ではないものの、多くの技術者が受験しますが、機械、電気、化学といったその他部門は、次のような目的で、技術者が受験するようです。

(1)技術者としての力試し
(2)独立コンサルタントとしての実力認証
(3)退職後の名刺肩書

現在技術士の英語訳は”Professional Engineer”です。2000年までは”Consulting Engineer”でしたが、技術士の8割以上が会社員や公務員という現実に合わせて解消されたものですから、必ずしも(2)のように独立する予定がなくても資格取得を目指すことは全く問題ありません。

 

技術者は技術士資格を取るべきか?

では技術者たるもの一体技術士資格を取るべきなんでしょうか?それは当然その技術者が何を目指しているかによります。

ただ食べるため、家族を養うために技術者という「職業」についているのであれば、苦労して資格を取得してもその労力にふさわしい見返りは必ずしも得られません。自分のケースでいえば、一次試験の準備に費やした時間は150時間、二次試験に350時間、総監受験に200時間といったところです。時給2000円なら合計140万円?(笑)報奨金も出なければ、給料も上がりませんでした。大赤字です。

それでも私は次の理由で、技術士資格取得を多くの技術者に勧めます。

(1)自己研鑽の習慣

技術士を目指すまでの自分は、居合流というか、必要最低限の知識は勉強するものの、それ以上に自分の能力を高める勉強はしませんでした。多くの技術者がそうではないかと思います。

技術士試験は当然何が出題されるか分からないので、必然的に網羅的な学習を強いられます。おかげで、それまで全く知らなかった分野の知識を獲得することができて非常に新鮮でした。実はこの時にまとめた内容は、のちに大学の非常勤講師をやることになった時、大いに役立ちました。受験対策の資料とそこで得られた知識がなかったら、私は講師を引き受けることができなかったでしょう。

また3年間毎日退社後に勉強していたことが習慣となり、合格後も勉強せざるを得ない観念が身につきました。その延長でMOT、博士課程に繋がっていったのです。知識だけでは成果が出ませんが、技術者として周りの人より知識があればそれだけ優位に立てることも事実です。

(2)技術士会の人的ネットワーク

技術士登録すると技術部会や専門部会などから多様なイベントの案内が届きます。地方であれば地方本部や県支部のイベントもあり、また技術士同士だけでなく業界団体や研究会との接点も増えて、社外技術者との交流が一気に増えます。企業内技術士である限り、その効用も限定的ですが、いずれ退職したあとはこれらの人脈が大いに役立つこととなります。

できれば学会や技術士会の委員か幹事を一つくらい引き受けて、ボランティア的に活動しておきましょう。私が技術士資格を取得したのは退職1年前でしたから、在職中はさほどネットワーキングできませんでした。もっと早くから交流を深めておけば良かったと思っています。

社内だけでも非常に多忙で、さらに家庭でも父親の役割もある中で、技術士受験の勉強に時間を割くことが容易ではないかもしれませんが、なんとか時間を捻出して挑戦してほしいものです。

技術士資格を取るべきではない技術者

そうは言っても、技術士に挑戦すべきではない(挑戦できない)技術者もいます。それは技術者ではありながらも、管理者から経営者へのステップを先頭で上っている人です。技術士はどちらかというと独力での技術能力を評価されます。管理職、経営者は、組織としての成果を求められるため、必ずしも技術力そのものを求められません。そういった人は技術士の受験勉強が役にたたないリスクが高まります。どちらかといえばMOT(技術経営)の勉強の方が、役に立つ可能性が高いでしょう。

もちろん経営者になっても時間的余裕がある技術者は受験しても構いませんし、そのような能力のある方ほど、力を入れれば合格の確率は高いとも予想されます。

参考になれば嬉しいです。

製造業教育関係者からの相談

2019年11月16日エンジニアのキャリアデザイン

先週技術教育に関心のある方々向けに「技術者を育てる現代版教育体系の作り方」というWebセミナーを企画したところ、40名もの応募があり終了後のアンケートでも予想を超える好評で恐縮しました。セミナーの中でも「技術者教育は他の企業内教育と比較して難しい」というお話をしましたが、それを実感している人が非常に多いことが改めて分かります。
さらに30分の教育相談を提示したところ、数社の方にご希望いただきました。
共通する課題がありそうでしたので、(当然ですが)実名は避けてポイントを紹介します。

小企業なので技術教育の仕組みが全くない

40名ほどの規模でしたので、当然しっかりした教育の仕組みが整っている企業はほとんどないと思われます。しかしそれで良いわけではなく、とにかく一歩目を踏み出すことが大事です。特に一人では心理的にもキツいので、初めに社長に声をかけて、最低二人の「技術教育委員会」を作ります。
次に第一回技術教育委員会では、社長にも入ってもらって「全社教育方針」を作ります。そんなに独自性がなくても良いでしょう。「当社は人材教育をもって競争力ある製品の設計および生産を実現する」とか、「当社の成長に人材の育成は必要不可欠であり、これに注力する」とか、ある意味当たり前の内容でも良いと思います。間違っても「すべてに優先して人材を教育する」など、実行できない方針を掲げると、かえってまずいことになります。
ついでに現実的な教育予算枠を設定しましょう。教育費は多いほど効果も上がるでしょうが、教育に時間をかけるほど通常業務時間が減るというジレンマがありますし、予算を掛けるにしても限度があります。上場企業+アルファの経理勘定科目で人的費用に占める教育費の比率は平均0.3%程度というデータがあります。人的費用に2億円払っている企業なら、60万円ということになります。中小企業でも何とか捻出できる金額ではないでしょうか?とにかく60万円を枠として社長から約束してもらい、これをいかに効果的に使うかを委員会で考えます。
委員会も隔月1時間で良いので、1年分の日程を決めてしまいましょう。年間6時間くらいなら何とかなります。何とかしましょう。そこでも無理な計画は立てずに、現状の整理から初めて、弱点を補強するか、強みを伸ばすか、PDCAを回しながら少しずつ進化させていきましょう。
とはいえ40名で60万円は、一流の講師を呼んだりするとあっというまに使い切ってしまいます。そこは通信教育、映像教材、Web講座などを組み込むことで大幅に費用を節減することが可能になります。まだまだ開発途上ですが、注目したいですね。

個人単位の設計業務で一体感がない

機械設計の受託会社ですが、個人単位の業務のため、発注元との関係が強くなって退社することも多いところが課題でした。退職を防ぐには、個人事業では実現できない何らかのメリットを提示する必要があります。例えば、前項の技術教育委員を募って、複数人で計画を立ててもらう、設計生産性向上プロジェクトを立ち上げてメンバー会議を定期的に実施するなどが考え付きます。
そして基礎的な設計法の教育しか実施していなかったようなので、最先端設計ツールや、設計している製造設備や最終製品など応用技術の先端講座教育も提案しました。こちらも有名講師を呼んだのでは費用がかさみますから、Webの活用は非常に効果的だと思います。

皆さんのお話を聞いて、技術者教育の必要性をひしひしと感じ、ここは私も頑張らねばと思いを新たにしました。

技術者のキャリアデザインをブログテーマに選んだ訳

2019年11月1日エンジニアのキャリアデザイン

元々ものづくりドットコムとの連携で、製造業の課題解決をテーマにブログを書いていたのですが、アメブロからWordPressへの移行に手間取り、5年ぶりに今再開したわけですが、テーマを若干変えて「技術者(エンジニア)のキャリアデザイン」としました。

理由は大きく三つあります。第一に私も63歳となり、自分がどう成長するかというステージから、これまでの自分の歩みを後進に伝えるステージに差し掛かったと判断したこと。

第二に50歳前後から10年かけて、技術士(経営工学部門、総合技術監理部門)、技術経営修士(専門職)、博士(工学)と、技術系の三大国家資格を取得し、キャリアデザインの大きな要素である資格に対して、比較しつつ説明できること。

第三は、ものづくりドットコムのセミナー案内機能が好評で、周辺オペレーションを見ているうちに、技術者の教育が極めて重要でありながら、確固とした体系がなく、どうやら各社各様に教育カリキュラムを工夫しているものの、成果を出すのに非常に苦労している様子が分かってきたことです。

私は製造企業に30年勤務して、多少は技術者教育にも関係しましたが、決してその道一筋に歩んだわけではありませんが、上記三つの理由からとりあえず技術者キャリアに関して、多少の発言が許されるだろうと思います。

そして調べてみると、技術者の歩むべき進路に関して、数冊の書籍はあるものの、その重要性と比較して異様に発信が少ないということも分かりました。

是非技術者の皆さんからの意見を反映させて、書き進めたいと思いますので、是非気軽に声を寄せてください。

ものづくりドットコムのコンセプト

2019年10月11日ものづくり.com

ものづくりドットコムトップページ|ものづくりドットコム創業者のブログ【技術者のキャリア設計】製造業・理系工業系・研究・開発・設計・開発・生産エンジニア向け

ものづくりドットコムを公開して7年半になります。

そもそも品質工学のコンサルタントとして個人事業を始めた私が、
東京農工大学のMOT(技術経営)大学院に入学してみたら、
ビジネスプランを作れというカリキュラムになっていて、考えたのがこのものづくりドットコムです。

当初のコンセプトは、コンサルタントなど専門家のノウハウを製造業に広く届けることでした。
その点では、解説、事例記事が3800件を超え、毎日4000人に利用されている現状は、当初イメージに近いものです。
しかしそれを糸口に、製造業関係者
特に中小企業に気軽にコンサルタントを使ってもらうという点ではあまり大きな成果を上げていません。
問い合わせは増えてきましたが、比較的大きい企業が専門分野の人材を照会してくることが多くなっています。
まだまだ、コンセプトの練り直し、
およびシステム設計を見直すとともに、製造企業との信頼関係構築が必要と感じます。

その一環としても、このブログに私が考えていること、感じていることを掲載して、
共感できる方から相談が届く契機になることを望みます。

運営者プロフィール

2019年9月15日e-monodukuri.com

●No.1ものづくり革新ナビゲーター 熊坂 治

山形県に生まれて、父が個人事業として小さな鉄工所をやっていたためか、何となくメカニカルなものが好きで、ただし親戚中に大学を出た人がいないため、進学のイメージがなくて、小学校の頃は工業高校を出て工員になるようなことを思ってました。

小5の時だったか、全校で知能テストを受けたらべらぼうに良くて、先生から東大に行ける指数と言われました。なぜこの年急に上がったかは不明。何にも特別なことはやってません。

中学もそこそこ成績は良くて、3年の全県模試では、県内で10番以内に2回入ったかな。2年までは地元の寒河江高校に行こうと考えてましたが、県内最難関の山形東高校へ進学することに。

入学後はさほど勉強するでもなく、遊びまくるでもなく、中学の陸上2000mで県大会決勝まで残ったことから、陸上部に入って長距離やってましたが、これもあまり熱心ではなかったです。

この高校は、東北大学の進学数が学年の評価となっているため、ほどほどの成績だとみんな東北大を受験するような学校でした。当然自分も工学部に狙いを定め、人並みに勉強していたわけですが、なぜか3年生になったら成績が上がってきて、模試の偏差値が東大の合格ラインに近づいてしまいました。いったい何だったんだろう??

東大を若干意識し始めた時に、父が仕事の大部分を受託していた会社が倒産して売掛金が焦げ付き、進学も危ぶまれる事態に。親は進学しろと言ってくれたが、浪人は許されないので、当初の希望通りに東北大の工学部に進学。よほど失敗しない限り合格は自信があったので、受験翌日から自動車運転教習所に入って、入学式までに免許を取得。合格発表は教習所で連絡をうけました。

大学でもあまり勉強せず、高校になかった放送部に入ってラジオドラマなど作ってました。台本よりも、ミキサーのステレオ化に情熱を傾けてましたが、ここでも何故か一回だけ応募したNHK東北本部の台本コンテストで佳作入選して、実際にドラマが制作されてラジオ放送されたのも良い思い出です。とにかく器用なんでしょうね。何でもそこそこまではできてしまう。そこが長所であり、短所にもなります。

当時は4年の6月頃に企業から求人が来て、学校推薦するとほとんど入社が決まるというほんわかした時代でした。昭和54年の採用状況は、第二次オイルショックの影響下であまり良くなく、進みたかった日本ビクターは採用がなく、求人のあった中でオーディオ専門メーカーのパイオニアを希望して採用されました。

実はその10年ほど前に、放送部のスタジオが火事で焼失した時に、音響学の教授を通じてパイオニアからステレオ設備一式寄贈を受けた際に、いずれ学生をひとり送るからという密約(?)があったらしいのだが、ずっと実現しておらず、自分が(たまたま)代償として行くことになり、先生が喜んでましたね。

パイオニアに入社してみると、趣味のオーディオではなく、全社を挙げてレーザーディスクに投資した年で、技術系新入社員100名のうち50名ほどがプレーヤー、10名がディスク開発に配属されました。開発を担当していた総合研究所は所沢にあったものの、当時甲府に工場を建設中で、入社年度の10月には山梨の新工場に移動しました。

その後開発・製造技術・品質技術・工場企画・技術営業・事業企画・事業開発・基礎研究・試作製造と様々な職種を経験し、放送劇、音楽、スキー、トライアスロンと趣味も手広く楽しんでいたが、50才を前にして何一つ一人前ではないと気づきます。

一念発起して技術士の資格を取って、タイミングよく募集された希望退職に応じ、技術経営大学院に入学。企業時代に始めたものづくり革新手法の体系を、大学院で課されたビジネスプランで展開したのが「ものづくり革新ナビ」というWebサイトで、学生ビジネスプランコンテストに入賞して、2012年3月に正式運用を開始。

当初はアクセスが伸び悩んだものの、紆余曲折の末に利用者が増加し、今では累計360万人に利用されるまでに成長しています。

日本の製造業を変革し、困った時には「ものづくりドットコム」と言われるようになることを目標に、日々改善に努めています。。

●経歴
1979年 東北大学工学部卒業
AVメーカーのパイオニアに入社し、プロセス開発・生産技術・製造技術・品質技術・事業開発・基礎研究・技術営業など、
5年の海外勤務を含め広範な業務とマネジメントを経験する中で、多くの技法を活用した生産性向上を研究、実践。
2008年 技術士登録(経営工学部門)
2009年 技術士登録(総合技術監理部門)
同年退社して熊坂技術士事務所開設
2010年 山梨学院大学現代ビジネス学部講師、2017年から客員教授
2011年 株式会社産業革新研究所設立、代表取締役就任
2012年 東京農工大学大学院技術経営研究科修了 技術経営修士(専門職)
2016年 東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了 工学博士
2018年 日本経営工学会実践賞受賞
2019年 日本技術士会会長賞受賞
2019年 東京農工大学客員教授「技術経営入門」

●所属団体・職位
日本技術士会山梨県支部長/蔵前技術士会幹事/技術士青葉会幹事
品質工学会評議員/山梨県研究会幹事
日本経営工学会人材教育委員
日本品質管理学会会員
東北大学工学部応用物理同窓会副会長
蔵前工業会山梨県支部事務局長
山梨科学アカデミー正会員

●インタビュー動画

製造業関係者の悩みを解決_ものづくりドットコム無料会員登録【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com
ご質問・お問い合わせはメールフォームをご利用ください【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

このサイトについて

2019年9月11日e-monodukuri.com

技術者は一種特有の生き物です。

高校時代にちょっと数学の成績が良かったとか、自宅にあったステレオとかプリンターとかビデオレコーダーとかのメカニカルなものに関心を持ってしまい、進学の時に工学部を選んでしまったがために、研究室で徹底的に技術思考が身についてしまい、あらゆる判断を論理的に実行しようとして、カミさん(あるいは恋人)にたしなめられることしばしば。

でも自分の専門技術では絶対に負けない自負がある。

そんな技術者が、自分の理想像に近づくためにどのように鍛えていくべきか、技術士で博士でMOTの大学教授でもあるマスターが思いつくままに綴っていきたいと思います。

機械、電気電子、情報、化学、金属などの分野にかかわらず技術専門性の確立・学習方法と考え方・資格取得のほか、働き方改革、現場・職場と家庭とのバランスなど、問題、課題が山積みな現代技術者のキャリア設計を考える情報をお届けします。

ご質問・お問い合わせはメールフォームをご利用ください【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com製造業関係者の悩みを解決_ものづくりドットコム無料会員登録【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

デジタル化とコモディティ化(2013年度版 第1章第3節1(2,3))

2013年8月22日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第3節1(2,3)では
デジタル化に伴う製品のコモディティ化が解説されています。

もう言い尽くされていますが、
技術がデジタル化すると製造の難度が下がり
低い労務費の新興国でも製造販売が可能となります。

そこで付加価値の高い、設計や意匠、ユーザビリティを先進国が担当し、
労務費の安い地域で大量に生産して
徹底的にコストを下げるという水平分業が広がりました。

他国で実現できない垂直統合型で一世を風靡した日本の家電メーカーは
ことごとくシェアを奪われる近年の状況です。

ここからは私の意見ですが、
何も日本が水平分業をやっていけない規則はありません。
ただ過去の成功体験のしがらみと
大きな組織の共通意識を急激に変えることが
難しいという事ではないでしょうか。

産業構造はここまで解析されているわけですから、
発想が少しずつ変わっていくと期待します。

その点で、組織が小さくフラットな企業ほど転換がし易いはずです。
新規技術は多様な技術屋が垂直統合して短期間で立ち上げ、
デジタル化で標準になった後は自社の利益を最大化する役割に徹する。
そんな企業が出てくるのではないでしょうか。

海外の文化を柔軟に取り込んで、
自国なりに消化(昇華)するのが得意な日本です。

製造業・エンジニア向け_ものづくりドットコムはこちら【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

製造業関係者の悩みを解決_ものづくりドットコム無料会員登録【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com
ご質問・お問い合わせはメールフォームをご利用ください【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

もの(製品)の概念の再整理(2013年度版 第1章第3節1)

2013年8月17日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第3節1では、
もの(製品)の概念を再整理しています。

もともとメカの集合体であった自動車ですら
近年は機能の大半をソフトウェアで実現し、
さらにはメカの代表だったブレーキですら、
ソフトウェア(電子)制御になっています。

ましてや小型PCともいえるスマホでは、
ハードはいくつかのデバイスにとどまり、
それらを制御するソフトウェア(アプリ)によって
あらゆる機能が提供されます。

ここに至ると「もの」づくりの概念を再構成する必要が生じます。
「もの」が「物体」ではなく、機能、ベネフィットであるなら
サービスとの違いが曖昧になってきます。

これは改めるまでもなく近年よく言われていることではありますが、
旧来の設計ではまずメカを設計して、電子制御を設計し、
最後のステップでソフトウェアで何とかする(?)
という手順が多いようです。
技術者の序列もこの順でソフトエンジニアは
最下級(?)とか以前は卑下していました。

最近はどうでしょう?
それともあれは私が勤めていた会社だけの話だったでしょうか?

製造業・エンジニア向け_ものづくりドットコムはこちら【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

製造業関係者の悩みを解決_ものづくりドットコム無料会員登録【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com
ご質問・お問い合わせはメールフォームをご利用ください【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com