ものづくり白書第1章第2節3は雇用者の年齢構成を分析しています。
図123-2を見ると、1990年からの20年間で
高卒入職者は半分以下に激減していますが、
大卒入職者は穏やかな減少にとどまっています。
●図123-2 製造業における学歴別・新卒入職者数の推移
2010年の減少は、
2009年のリーマンショック後に採用数を減らした影響が現れたものでしょう。
これも作業現場が海外に移動している事を示しています。
良く見ると従業員の多い企業ほど高卒者が減っており、
小企業はさほどではありません。
海外に移動するのは資本の豊かな大企業です。
一方小さな企業ではむしろ大卒入職者が増えているように見えます。
技術力、経営力を強化しているのでしょう。
図123-3を見ると、新卒3年後の離職率は
学歴、企業規模に寄らずすべてのセグメントで
製造業が全産業計を下回っているのが分かります。
●図123-3 2008年新規学卒【新卒】就職者の3年後までの離職率(規模別)
全産業計でみると3年で3割といわれる離職率ですが、
製造業大卒では約半分です。
給与水準が平均より高いこと、労働環境が整っていること、
「ものをつくる」という実業であり充実感があることなど
原因はいくつか思い当りますが、
製造というある意味地味な仕事に就こうとする時点で、
浮ついた気持ではない実直な性格の入植者が多いのかもしれません。