デジタル化とコモディティ化(2013年度版 第1章第3節1(2,3))

2013年8月22日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第3節1(2,3)では
デジタル化に伴う製品のコモディティ化が解説されています。

もう言い尽くされていますが、
技術がデジタル化すると製造の難度が下がり
低い労務費の新興国でも製造販売が可能となります。

そこで付加価値の高い、設計や意匠、ユーザビリティを先進国が担当し、
労務費の安い地域で大量に生産して
徹底的にコストを下げるという水平分業が広がりました。

他国で実現できない垂直統合型で一世を風靡した日本の家電メーカーは
ことごとくシェアを奪われる近年の状況です。

ここからは私の意見ですが、
何も日本が水平分業をやっていけない規則はありません。
ただ過去の成功体験のしがらみと
大きな組織の共通意識を急激に変えることが
難しいという事ではないでしょうか。

産業構造はここまで解析されているわけですから、
発想が少しずつ変わっていくと期待します。

その点で、組織が小さくフラットな企業ほど転換がし易いはずです。
新規技術は多様な技術屋が垂直統合して短期間で立ち上げ、
デジタル化で標準になった後は自社の利益を最大化する役割に徹する。
そんな企業が出てくるのではないでしょうか。

海外の文化を柔軟に取り込んで、
自国なりに消化(昇華)するのが得意な日本です。

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もの(製品)の概念の再整理(2013年度版 第1章第3節1)

2013年8月17日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第3節1では、
もの(製品)の概念を再整理しています。

もともとメカの集合体であった自動車ですら
近年は機能の大半をソフトウェアで実現し、
さらにはメカの代表だったブレーキですら、
ソフトウェア(電子)制御になっています。

ましてや小型PCともいえるスマホでは、
ハードはいくつかのデバイスにとどまり、
それらを制御するソフトウェア(アプリ)によって
あらゆる機能が提供されます。

ここに至ると「もの」づくりの概念を再構成する必要が生じます。
「もの」が「物体」ではなく、機能、ベネフィットであるなら
サービスとの違いが曖昧になってきます。

これは改めるまでもなく近年よく言われていることではありますが、
旧来の設計ではまずメカを設計して、電子制御を設計し、
最後のステップでソフトウェアで何とかする(?)
という手順が多いようです。
技術者の序列もこの順でソフトエンジニアは
最下級(?)とか以前は卑下していました。

最近はどうでしょう?
それともあれは私が勤めていた会社だけの話だったでしょうか?

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非効率な経営資源(2013年度版 第1章第2節4)

2013年8月6日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節4では
日本の非効率な経営資源の現状と
それを有効活用し競争力を高める「新陳代謝の促進」の必要性が書かれています。

一例として図124-1のように
日本のは米英に比べて
極めて低い開廃業率となっています。

●図124-1 日米英の開廃業率比較(2010年)
日米英の開廃業率比較_2010年【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

白書では、非効率事業を抱え込んでいると分析していますが、
例のホフステード調査結果を思い出すと
日本人特有の「不確実性回避」という国民性も関係していそうです。

いずれにせよ変化の速い現代にあって
新陳代謝が進まないことはメリット以上にデメリットが多そうです。

白書ではその対策の一つとして
社外取締役比率の増加を上げています。

●図124-5 取締役の過半数が独立取締役である企業の割合
取締役の過半数が独立取締役である企業の割合【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

図124-5の内外比較を見てみると
あらためて日本的経営の特殊性に気づかされます。

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素材メーカー競争力の背景(2013年度版 第1章第2節3(3))

2013年7月29日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節3(3)では
完成品メーカーよりも素材、部品メーカーの方に
好業績企業が多い点について
素材メーカー競争力の背景が解説されています。

その理由として、日本の完成品メーカーに
鍛えられてきたと説明されています。
図123-7を見ると、確かに他国と比べて
その傾向が出ています。

●図123-7【自動車】の取引先完成品メーカー特徴
【自動車】の取引先完成品メーカー特徴【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

さらにここでは示しませんが、
電機産業よりも自動車産業の方が
この傾向は顕著です。

今後海外に素材を販売する場合は、
この状況は通用せず、
価格競争に巻き込まれる危険性が白書では指摘されています。

一方3月にものづくり革新ナビ1周年記念で講演していただいた
敬愛大学の岸本先生によれば、
アジアに展開した日本の中小企業は、
顧客製品全体に対するコーディネートが競争力になっているといいます。

競合の強み=安かろう悪かろうと同じ土俵上で戦うのではなく、
あくまで自社の強みを活かした戦略にこだわりたいものです。

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製品寿命の短期化(2013年度版 第1章第2節3(2))

2013年7月25日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節3(2)では
デジタル化・モジュール化による製品寿命の短期化が説明されています。

皆さんご存知のように、
日本の電機業界は大手企業が苦戦しています。
他の製品分野に比べて電気製品は
機能がICの中に設計されてしまうため、
部品さえ購入してしまえば
比較的容易にほどほどの製品が実現できてしまいます。

下の図123-5は企業アンケートの結果ですが、
比較的グローバル競争力があると言われる
自動車、産業用機械に比べて、
電気機械はモデルチェンジの間隔が
極めて短くなっています。

●図123-5 製品の特徴と(※)寿命変化の関係(※次回モデルチェンジまでの平均年数)
製品の特徴と寿命変化の関係_次回モデルチェンジまでの平均年数【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

私が学生の頃は
オーディオ製品が1年に2回モデルチェンジしていた時代で、
その厳しい環境で欧米のメーカーを置き去りにしたものです。

今はそのスピードに日本が付いていけなくなっています。
品質工学やプロジェクトマネジメントなどを効果的に使用し、
開発の生産性を向上する必要があります。

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設備投資の促進に向けた支援策(2013年度版 第1章第2節2 コラムP82)

2013年7月15日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節2P82のコラムでは、
設備投資の促進に向けた支援策が説明されています。

前節で解説されたように、
国内の設備投資の低迷および旧式化が
日本の競争力を低下させているとい判断で、
政府はH24年度補正予算で
「円高・エネルギー制約対策のための先端設備等
投資促進事業費補助金(予算総額は2,000億円)」を
措置し、605件が採択されました。

これによる補助金は1280億円ですから
使いきれなかったことになります。

内容を精査していないため、
その有効性を確信することはできませんが、
それなりの波及効果が期待されます。

しかし超赤字国家予算の中での政策ですから
将来の税収が相当の確率で見込まれないと
財政破たんへの確実な一歩となります。

収入源への投資は、
無駄な道路建設よりはかなりましであり、
できれば新興国への輸出競争力が向上する
補助金となって欲しいものです。

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設備優位性の低下(2013年度版 第1章第2節2(5))

2013年7月12日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節2(5)では、
日本の設備優位性の低下に関して説明しています。

前にも書きましたが、近年の日本製造企業の設備は
国内よりも海外に対してより多く投資されてきています。

図122-24は日米韓の民間設備投資額を比較しています。

●図122-24 各国の民間設備投資の推移
各国の民間設備投資の推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

90年との比較で、韓国は5倍近く、
米国でも2.37倍となっているの対し
日本は0.72倍で、
山谷もなく、ほぼ一様に下落しています。

2013年度版ものづくり白書をメディアが取り上げた際には、
この部分を最も焦点としていたようで、
だから低迷している、もっと増やそう、
という論調だったように聞こえました。

日経ビジネス最新号でも
日本の優秀な人材が海外に流出しているという記事がありました。

減退していく年齢構造はいかんともしがたいですが、
人材や投資をぐっと引き寄せるような
魅力的な産業/製品を提示したいものです。

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戦略的な特許取得の重要性(2013年度版 第1章2節2(2))

2013年7月9日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章2節2(2)では、
戦略的な特許取得の重要性が説明されています。

図122-10を見ると、特許件数を重視している企業よりも
厳選して取得している企業の方が営業利益が増加傾向です。

●図122-10 特許取得戦略と営業利益
特許取得戦略と営業利益【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

サンプル数がさほど多くないし、分散も不明なので
有意差の判断がつきかねますが、
多くの企業で特許取得に慎重になっているという話は耳にします。

●図122-11 技術伝播の影響が強い経路
技術伝播の影響が強い経路【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

図122-11のように、
特許を通じて自社技術が外部に流出するため、
必要な特許のみ注意して出願することが
一般的になってきています。

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企業競争力の源泉である「技術・設備の維持・強化」(2013年度版 第1章2節2)

2013年7月7日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章2節2では、
企業競争力の源泉である「技術・設備の維持・強化」について解説しています。

前段のアンケート、で技術力に相当の自信を持っており、
事業競争力でも欧米韓国には互角以上の意識を持ちながらも
中国企業に対しては劣位と感じています。

その一つの要因と分析しているのが研究開発費です。
日本企業のGDP比研究開発費は
2001年のから1.4%から、2008年には2.8%まで増加しましたが、
2009年に下がり韓国に抜かれています。

また図122-4で分かるように、絶対額の指数では
日本の伸びに比較して中韓が飛躍的に増額していることが分かります。

●図122-4 企業部門の研究開発費の推移
企業部門の研究開発費の推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

研究開発費が伸び悩んでいるだけでなく、
図122-7で分かるように
研究開発の期間も短期的なテーマが増えてきており、
長期的な競争優位性に不安があります。

●図122-7 研究開発期間の変化
研究開発期間の変化【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

ひとつには人口減少局面に入り、
以前出てきた設備投資と同様に
市場収縮方向の国内よりも海外向けの研究開発が増えるのは、
理解せざるを得ないでしょう。

しかし、付加価値の源泉である開発が国内で減少し
短期的になっている電気機器業界は
これからかなり厳しい戦いになっていく危険性があります。

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米国の「製造業ルネサンス」の実態(2013年度版 第1章第2節コラム)

2013年6月29日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第2節のコラムは、
米国の「製造業ルネサンス」の実態を解説しています。

下の図で分かるように、
中国の労働者賃金の上昇によって
米中の人件費格差は縮小し、
輸送費や管理のしやすさを考慮すれば
今や米国内の製造に競争力がありそうに思えます。

●アメリカ製造業回帰に注目が集まる背景
アメリカ製造業回帰に注目が集まる背景【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

しかし白書では、海外拠点を米国に戻す動きが
キャタピラーやGEなど限定的であり、
もっと大規模な新規雇用が必要だと分析しています。

その原因として考えられるのは、
まず第一に、もはや中国生産はコストダウンが目的ではなく
中国そのものの巨大市場が目的であること。
第二に、近年の中国内生産量同大による習熟曲線により
中国の現場力が米国を上回っている事です。

これは他人ごとではなく、
日本も製造の現場を失って長い時間が経つと
復帰できなくなる危険性があります。

タイ洪水の際に、
タイ工場から作業者を連れてきて生産せざるを得なかった
ホンダの例が思い起こされます。

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