製造業が輸出で稼ぐ力の低下(2013年度版 第1章第1節2)

2013年6月12日ものづくり白書を読み解く

2013年度版ものづくり白書第1章第1節の2では、
製造業が輸出で稼ぐ力の低下について分析しています。

私が小学校の頃は、
日本は資源がないので、
海外からエネルギーや原料を輸入して
加工品を輸出して成り立っていると教わりました。

図112-1を見ると、
2010年までかろうじて貿易黒字を確保していましたが、
2011年から赤字に転じています。

●図112-1 貿易収支の内訳推移
貿易収支の内訳推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

震災による生産拠点の停止と
同じく原発停止による燃料輸入の増加、価格上昇が重なり、
要因がきれいに分離できませんが、
2005年と2012年を比較すると
輸出サイドでは電気機器だけが4兆円のマイナス
(輸送用機器の「3.1」は「13.1」のミスプリですねえ)
輸入サイドでは燃料が9兆円のマイナスで、
圧倒的に輸入側の問題が大です。

電力需要自体は減退しているので、
事故リスク損失まで含めた発電コストが
本当に安い原発があれば
稼働することで、この分は緩和されるでしょう。

図112-4は「輸送用機器」貿易額の内訳ですが、
自動車本体はほとんど黒字に貢献しておらず(というか赤字)
大半が自動車部品なんですねえ。

●図112-4 輸送用機器の内訳推移
輸送用機器の内訳推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

海外組立でも、日本の部品が使われているとは思いましたが、
マツダとか富士重とかは相当完成車を輸出していると聞いていたので、
このデータは軽い驚きがあります。

マーチなどの逆輸入車なのか、
欧州などからの完成車輸入額が思いのほか大きいのか?

いずれにせよ、部品の黒字額はどちらかといえば
増加傾向に見えます。

一方、図112-5は電気機器の内訳で、
部品、計測器はあまり変動がなく、
音響、映像機器と通信機(携帯電話が主らしい)の凋落が明確です。

●図112-5 電気機器の内訳推移
電気機器の内訳推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

TVを主体とする映像機器は技術のモジュラー化が進み
どこでも作れるコモディティーになっています。
しかし販売店を見ている限り、
販売の主要部分はまだ日本メーカーであり、
組立付加価値は新興国のOEMメーカーが取るにしても
経常収支的には深刻ではないように思います。

一方の通信機器≒携帯電話は、
ガラパゴス的発展に甘んじてきた日本メーカーが
スマホ化の黒船に駆逐され
付加価値のほとんどを海外に明け渡している状況に見えます。

技術進歩が速い製品だけに
何とか戦いの土俵を替えて
市場奪回を図りたいものです。

サムスンは3億台のスマホを販売しながら
各国の市場に合わせて、
100種類上の機種を展開しているそうです。
相手に合わせた細やかな対応は
本来日本人が持っていた特質のはず。

チャンスはどこかに必ずあるのだと信じます。

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苦戦する我が国ものづくり産業(2012年度版 第2章第1節1)

2013年6月1日ものづくり白書を読み解く

2012年度版ものづくり白書第2章第1節1は、
製造業の苦境を分析しています。

図211-1を見ると、
1980年以来黒字を続けてきた貿易収支が、
31年ぶりに赤字に転落しています。

●図211-1 経常収支の内訳推移
経常収支の内訳推移【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

続く図211-2で見るとこの状況の最大原因は、
自動車関連産業とエレクトロニクス産業であることが分かります。

●図211-2 主要産業の営業利益の対前年比(2011年/2010年)
主要産業の営業利益_対前年比【技術者のキャリア設計】エンジニア・技術者・専門家・ものづくり・製造業・経営論・人材確保・キャリアアップ・キャリア形成・ものづくり.com

ご存知のように、
これらは東日本大震災で大きな打撃を受けた業種であり、
一過性のものかと思いましたが、
今年に入っても貿易収支は赤字のままです。

原発停止の影響で、
石炭石油ガスなどのエネルギー輸入が増えた事と、
図211-1で所得収支の増加傾向から分かるように
製造現場が海外に移転することで
現地法人からの上納金(配当)が増えているわけです。

短期的な経常収支としてはバランスが取れますが、
中期的には製造技術力が現地で向上し、
地場産業がいずれ振興してくるだろうことと、
国内で職場を失った労働者の受け皿が懸念されます。

ただし複雑なサプライチェーンが災いして
震災で大打撃を被った自動車関連は、
このところの円安で大きく利益を回復しているはずで、
2013年度版ものづくり白書のデータが楽しみです。

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